2021年NHKマイルカップ 5月9日15時40分発走
今週のG1レースはNHKマイルカップ。
昔は皐月賞やダービーといったクラシック路線には外国産馬は出走できなかったので、そういった通称マル外の馬はみんな、このG1を春の大目標に据えていました。
ところが今では、JRAの主催G1はすべて国際認定を受けているレースになるので、外国馬であろうと出走が可能です。
じゃあNHKマイルカップの価値は落ちたのか?といえば決してそうではなく、近年でも香港マイル覇者のアドマイヤマーズや、牡馬に混じって国内G1で激走を続けたアエロリットなんかの名馬がこのレースの勝ち馬から出ています。
特に最近顕著に見られる日本の馬場の高速化と、スピード重視に寄ってきた血統図の兼ね合いで、東京1600mという条件のレースは非常に見応えがあると思います。
レースのデータ的に言えば「1番人気の勝率が高いが、平均配当は高水準」という、堅く決まるか荒れるかが読みにくいレースです。
枠の有利不利も統計的にはほぼ無いと見て良いと思います。マイル戦ながら直線の長い東京コースなので差し馬にも勝機は十分です。
4枠8番 グレナディアガーズ
去年の朝日杯FSにおいて、1600mのマイル戦をコースレコードで制した2歳王者です。
(最優秀2歳牡馬は無敗の戦績が評価されて、ホープフルSの勝ち馬ダノンザキッドが受賞しました)
デビューから勝ち上がりまで3戦を要し、1勝で臨んだ大一番で七番人気の穴評価を覆す快走を見せましたが、年明け緒戦のファルコンSは逃げたルークズネストをアタマ差捉えきれず2着。
とはいえ休み明けの叩きだったことを考慮すれば、まずまずの走りではないでしょうか。
最大の特徴はその血統。
父フランケルは近代の「欧州最強馬」として14戦14勝(G1競争9勝)のパーフェクトスコアを残し、2着馬に通算で76馬身以上の差をつけた怪物です。
エリート馬としての意地を見せられるのかが、注目のレースになるでしょう。名手川田を背に大一番に挑みます。
2枠4番 バスラットレオン
夏の新馬戦を圧勝した後は勝ちきれないレースが続いていましたが、今年に入ってから一変。
年明けすぐのシンザン記念では惜しくも粘りきれず3着でしたが、続く自己条件戦で新人騎手を背に快勝すると、なんと前走のトライアルとなるNZTで5馬身差の逃げ切り圧勝。
スタートから終始先頭を維持した上で、上がり3Fのタイムもメンバー中最速という驚くべきパフォーマンスを見せました。
はっきり言ってこのレースだけ見れば、他馬と明らかに格が違います。それほど強い競馬でした。
もし本番でもこのまま突き抜けるようなことがあれば、今後マイル路線の大本命として君臨する予感がします。
血統的には父キズナ。先週惜しくも2着に敗れたディープボンドと同じですね。
舞台はまるで違えど、はたしてどうなるか。
7枠15番 シュネルマイスター
有力馬の中で、もっとも未知数の馬がこちらではないでしょうか。
3戦2勝2着1回。前走敗れた弥生賞は2000mでしたが、勝った2戦はどちらもマイル戦でした。
当馬の父キングマンボはマイル路線で活躍し、種牡馬となってからは日本での代表産駒としてエルコンドルパサーとキングカメハメハを輩出し、大成功を収めています。
上記2頭はクラシックディスタンスもこなせる柔軟性のある馬でしたが、他の産駒にはマイルから中距離を本領とする馬が多く、シュネルマイスターもマイル戦を得意とするのかもしれません。
何より、エルコンドルパサーもキングカメハメハも、3歳時はNHKマイルカップの勝ち馬として名を残しています。
4戦目のキャリアでそれに続くことが出来るのか。鞍上にはルメールを迎えて挑みます。
7枠13番 ホウオウアマゾン
前走のトライアルとなるアーリントンCで、雨の重馬場の中を好位からスッと抜け出して見事に勝利、一番人気に応えています。
ここまで6戦3勝2着2回、唯一の大敗となった朝日杯FSでは中団からの競馬になりましたが、それ以外のレースはすべて二番手あたりから抜け出しています。
本番ではバスラットレオンという力のある逃げ馬がいるので、ペースコントロールが上手く合うかが焦点でしょうか。
鞍上はベテラン武豊。乗り替わりでの騎乗ですが、そういう意味では最も合う屋根かもしれません。
血統的には父キングカメハメハ、母父アグネスタキオンとなります。
8枠18番 ピクシーナイト
多分今回のレースで一番ウマ娘に縁がある血統がこの馬です。
父モーリス(父父父グラスワンダー)、母父キングヘイロー、母母父サクラバクシンオー。
いかにもな快速母系に、マイル絶対王者であるモーリスの配合というコンセプトを感じる血統ですね。
今年のシンザン記念の勝ち馬ですが、このレースは過去にジェンティルドンナやミッキーアイル、アーモンドアイといったG1馬が名を連ねる出世レースになります。
はたしてそれら名馬の後を辿ることができるのか?
ちなみにピクシーとかいう名前ですが馬体重は貫禄の530kg前後と全然小さくありません。
個人的には今回、上位人気5~6頭くらいはそれほど力には差がないんじゃないかと見ています。
まだ馬が若い3歳馬ということもあり、荒れるかどうかも注目ですね。
おしまい