2021年桜花賞 4月11日15時40分発走
春G1シリーズ第三戦目は桜花賞。言わずと知れた牝馬三冠レースの緒戦、クラシックの開幕戦です。
近年の牝馬の活躍って物凄いんですが、桜花賞の勝ち馬も過去3年がデアリングタクト、グランアレグリア、アーモンドアイと錚々たるメンツ。コース自体がゴール直前の坂の影響もあり、差しが届きやすい瞬発力勝負のマイル戦とあって、桜花賞の勝ち馬が東京コースなどで好走することも多く試金石も兼ねています。
ではさっそく注目馬をこちらに。事前予想の上位人気順に挙げていきます。
2枠4番 ソダシ
白い奇跡。
白毛というものはそもそも「競馬で勝てるわけがない」という存在でした。それがソダシの母であるシラユキヒメの二番仔(ソダシ全兄)によって2007年に初勝利がもたらされ、地方重賞の勝利、世界初の国際グレード競争勝利など、白毛界の革命ともいえる偉業はすべてこのシラユキヒメ一族から達成されています。
そして満を持して「白毛馬によるG1競争初勝利」となったのが、このソダシです。しかも4戦4勝無敗。これを奇跡と呼ばずして何だろうか。
馬の特徴を挙げるなら、抜きんでた勝負根性がまず第一だと思います。
前走の阪神JF、返し馬では物見(気が散ること)が激しく、ゲート入りもスムーズに行かずに気性にうるさいところを見せていたので、直線で先頭に立ってサトノレイナスに並ばれた時は「ああ、もう競る力は残ってないだろうな」と思って見てました。
ところが、競りかけるどころか一度は抜かれたにも関わらず、そこから気合で抜き返しての2歳女王戴冠。メチャクチャ震えました。
「白毛は体質が弱い」なんて言われたのも一昔前、こんなに精神面・肉体面の両方で優れた馬が出てくるようになったんですね。
2歳明けの緒戦、無敗で挑む桜花賞ということもあり、色々な意味で注目されるレースです。
8枠18番 サトノレイナス
昨年の弥生賞を制し菊花賞3着となったサトノフラッグの全妹です。桜花賞というレースがそもそもディープインパクト産駒との相性が非常によく、過去10年でも実に5頭の勝ち馬を出しています。
サトノレイナスは前走、荒れた内の馬場を通ったにも関わらず力強い走りでソダシとほぼ差の無い2着。血統的には距離が延びれば逆転も十分あるだけに、もしここを勝てれば牝馬三冠の最右翼に躍り出るでしょう。
実際、阪神JFの上がり3Fタイムで言えばソダシよりも時計は上です。一瞬の切れ味勝負になればサトノレイナスに分があるかもしれません。枠は大外となりましたが、逆に前を塞がれずに外差しが狙える好番という見方も出来ます。
そして何より、鞍上がルメール騎手です。これはかなり大きなファクターですね。期待が持てます。
3枠5番 アカイトリノムスメ
すごい名前してますよね。実はこの馬の全兄にG1競争にも出走してる中堅どころがいるんですけど、その馬は「ジナンボー」って名前なんです。ちょっとダサすぎユニークですよね。
しかしながら血統は超一流、父馬は言わずと知れたディープインパクト、母馬はなんと牝馬三冠を含むG1競争5勝のアパパネという「12冠ベビー」かつ「三冠配合」であり、このユニークな馬名も、アパパネという南国の鳥=赤い鳥、の仔というところから付いています。
とはいえ、上にいる3頭の全兄たちもさんざん「12冠ベビー」扱いされてきたものの、重賞勝ちはこれまでありませんでした。しかし本馬は一味違う、前走でG3クイーンカップを堂々1着で制しての参戦になります。
デビュー戦こそ幼さが残るちぐはぐな競馬で敗れていますが、そこからは3連勝と確実に成長を感じる戦績、鞍上には若手ナンバーワンと言える横山武史。
ソダシと初めてぶつかる桜の舞台で「紅白決着」となるんでしょうか。
4枠8番 メイケイエール
血統的にはソダシと縁のある馬です。
ソダシは父クロフネ、母ブチコ(キングカメハメハ×シラユキヒメ)という血統なんですが、メイケイエールの祖母にあたるのがユキチャン(クロフネ×シラユキヒメ)です。
ユキチャンは白毛馬で初となる地方重賞を制したばかりか、地方での最優秀牝馬として年度表彰されたこともある名牝です。当馬の母も白毛なんですが、そこは遺伝しなかったようですね。
トライアルとなるチューリップ賞を同着で制覇しての本番ですが、気性に問題を抱えているところは否めません。3走続けて道中でうるさいところを見せていました。
とはいえ、それでも勝ち切っているポテンシャルの高さ(阪神JFはソダシから0.2秒差の4着)も事実であり、精神面で成長が見られれば一番怖いのはこの馬かもしれません。
枠順も絶好と言ってもよいところを引けています。
6枠12番 ヨカヨカ
ここからは事前人気と関係なく注目馬を。
サラブレッドの生産地は、そのほとんどが北海道で占められています。今は調べたところ98%が北海道産となるようですね。ですが青森、宮城、九州などでも少数ですが生産牧場が現存しています。
ヨカヨカは、熊本で生まれたサラブレッドです。
もともと、熊本県産のサラブレッドがG1競争に出走したことは過去にありませんでした。ところが昨年の阪神JFで、なんとヨカヨカとルクシオンという2頭の熊本県生まれの馬が出走するという快挙が起きたんです。しかもヨカヨカは掲示板内となる5着に大健闘。一躍注目を浴びました。
もう1頭のルクシオンは、残念ながら年明けに調教中の事故により予後不良の怪我を負い安楽死。熊本の想いを背に臨んだ前走のトライアルで見事2着に入り、桜花賞へ挑みます。
8枠17番 ホウオウイクセル
この馬だけは血統表を貼りました。ウマしか知らない、という方にも馴染みのある名前が多数見つかると思います。
母系であるメジロオードリーに繋がる血脈は、今は無きメジロ牧場が連綿と紡いできた日本の競馬史の結晶とも言える血筋。父のルーラーシップもエアグルーヴ-ダイナカールと繋がる日本最高の牝系を持ち、まさに歴史が詰まった血統表です。
ホウオウイクセルの活躍が、ひいてはメジロの名を今後も血統図に残していくことに繋がるのでしょう。ロマン溢れる馬ですね。
その他にウマ娘登場キャラと縁のある出走馬は以下となります。
・1枠1番 ストライプ(父母エアグルーヴ)
・2枠3番 ブルーバード(父父スペシャルウィーク)
・3枠6番 ストゥーティ(父父父グラスワンダー)
・8枠16番 ソングライン(母母父アグネスタキオン)
若い牝馬ってどうしてもムラが大きく、予想が難しいレースではありますが今年も混戦模様です。観戦楽しみたいですね!
おしまい