夜好性などなど
というタイトルですが、YOASOBIとヨルシカが俺のこれまで聴いてきた音楽とちょっと違うなと感じたので、夜好性っていうだれうまの単語と合わせて何か書こうかなと。
書こうかな、と思って半年以上放置してました。
なので内容についてはもう今更すぎるオススメの域を出てないし、なんなら考察も何もしてない(そういうのはもっと深い方々が沢山書いてる)ので、全く大した文章にはなってません…。
・YOASOBI
最初に『夜に駆ける』聞いた時は特に何の感情もなくて、その後にユニットのコンセプト紹介なんかの記事を見てかなり興味持ったんですよね。もともと活字読むのが好きな性分だけに。
もちろん『タナトスの誘惑』も読みました。
タナトスの誘惑 | 物語詳細 - monogatary.com
読み終わって結論。俺には合わない!
というのも余りに厭世的な世界観すぎて、そういう鬱々としたテーマって元々好きじゃないんです。これは完全に自分の趣味嗜好の問題。なのでまあ、試みとしては興味深いけどnot for meだったなあというのがファーストインプレッション。
で、そこからハマる経緯には勿論きっかけになった曲があって、これです。
YOASOBI「ハルジオン」Official Music Video
こちらの原作小説はこれ。15分くらいで読めます。
短編小説「それでも、ハッピーエンド」 - ZONe IMMERSIVE SONG PROJECT
普通に曲調が好きで、「ああ失恋してから前向きになるまでを描いた曲ね、ありがちだけど良いよねこういうの」くらいの気持ちのまま原作小説読んで、小説自体の感想は「新海誠の短編でありそう」程度の軽いもんだったけど、読み終わってからあらためて歌詞眺めて、正直ビビりました。あまりにも「詩」にするのが上手すぎる。
戻れない日々の欠片が
映し出したのは
蕾のまま閉じ込めた未来
もう一度描き出す作詞:Ayase
さっきの小説を"元"にしながら、このフレーズに昇華させるのは物凄い詩的センスだと思う。
小説を歌詞にする、って余分なものを削ぎ落していく行為に近いと思うんですよね。もちろん文字数の問題も大きいけど、シンプルに何を伝えたいのかに着目した上でちゃんと歌詞になるように韻も踏ませる必要があるし。
でもこの歌詞見て思ったのは、むしろこの歌詞が先にあってインスパイアされた小説って言われても全然わかんないどころか自然だなって感じるくらい、自分の言葉で物語の本質を抉ってるなってところ。
ストーリーを借り物としてではなく、完全に消化した上できっちり「別の作品」に仕立てる感性がめちゃくちゃ凄いと思いました。
YOASOBIはまだ楽曲数少ないけど、他に1曲オススメするならこちらもどうぞ。
夢の雫と星の花 | 物語詳細 - monogatary.com
・ヨルシカ
YOASOBIが原作小説と曲のグラデーションを楽しむタイプの楽曲だとしたら、ヨルシカはゴリッゴリのコンセプトアルバムです。曲という単位は「アルバムという一つの作品」のピースにすぎません。
まあ例によってハマるきっかけになった1曲を貼っておくとこちらです。
初見で聴いただけでも分かるくらいメッセージ性が強い歌詞に、ちょっとギョッとしちゃうタイトル。
っていうかあまりにもメッセージ性が強すぎて、もうボーカルじゃなくて「演技」と呼んでもいいくらいの域に達してる。そして演技かと思わされるくらいに心情をありのまま綴ったリリック。
明らかに誰かに狙いを定めてぶつけるような独白が繰り返された後、最後の最後に吐き出される「だから僕は、音楽を辞めた」という曲名に使われているフレーズ。
これで興味持たない方が無理ってもんでした。
で、調べたら出てきたのが以下のインタビュー。
読んでるうちに、なるほどなあって納得がありました。要はアルバム丸ごと一つの物語としての連作にしたと。途中に含まれるインスト曲も全て意味のある物語の一部分なんだと。そしてこのアルバムは『僕』から『エルマ』という女性へ宛てたメッセージなんだと。もう鼻血出た。
だってこのアルバムの曲目が以下なんですよ。
01:8/31
02:藍二乗
03:八月、某、月明かり
04:詩書きとコーヒー
05:7/13
06:踊ろうぜ
07:六月は雨上がりの街を書く
08:五月は花緑青の窓辺から
09:夜紛い
10:5/6
11:パレード
12:エルマ
13:4/10
14:だから僕は音楽を辞めた
もうそのもの『エルマ』って曲があるじゃん。聴くじゃん。歌詞読むじゃん。死んだわ!
そしてインスト曲に付けられているタイトルは日付。そう、これ時系列順じゃないんですわ。もうこんなの考察探して聴きこむしかないじゃんね。
んで調べてたら2ndフルアルバムがもう出てて、そのタイトルが「エルマ」だと。なんだこれ。
つまり2ndアルバムは、14曲全てを使った1stアルバムでいうところの『僕』へのアンサーになってるんです。おいおいおい仕掛けが豪華すぎるよ~~~
・まとめ
自分も人並みにに色々音楽聴いてきて、バンド物の臨場感も打ち込みサウンドの統一感も好きだなって感じで雑食だったんですが、この両者のアーティストには音楽というジャンル自体の可能性の広がりを感じました。
例えば漫画のアニメ化とか、実写映画化とか、そういったメディアミックスって色々ありますけど、それらとも違っていわば「物語の音楽化」とでも呼べるような、より五感に近い形で表現したんじゃないかなって。
今の世の中、色々と思うところはあるわけですよ。コロナ禍でコンサートなんか満足に開催できないし。双方向性のコミュニケーションを音楽に求めにくい時勢ですよね。自宅で楽しむ範囲といってもスマホに付属イヤホンで聴くしかないって環境の人も多いわけです。
そんな中で、まるで絵画の分野のような「ただ耳で聴くだけじゃなく、裏にある物語を楽しめる」というのは僕にとっては新しい音楽の形でした。(過去にも同じようなコンセプトを試したアーティストがいたらごめん)
ということを本当は去年の夏くらいにみんなに伝えたかったんや。すまんな!
ずとまよについては語るほど聴いてないので、今回はパスです。
おしまい